今、日本で2043万人、労働人口の38%を超える人々が非正規労働を強いられている。労働基準法がみなさんの職場にありますか?
労働者は150年にわたる闘いで、24時間のうち8時間は働き、8時間は食事や睡眠の時間、残りの8時間は友達や家族との時間として使う権利を手にした。
それが今どうなっていますか。低賃金で長時間働かないと食えない。その先には過労死です。今、青年と中年の過労死が一気に増えている。すこし上の世代は「追い出し部屋」送り。メチャメチャなことになっている。
労働者はこの世の中の主人公です。こういうと「企業あってこそだろう」なんていわれますが、ウソです。労働者の労働が社会を動かしているんです。資本家も企業家もいなくても社会は動きます。
ダブルジョブ、トリプルジョブという(いやな言葉です)状況で、いつ眠るんですか。いつ家族と団らんするんですか。家族も持てない。そういう絶望的状況に若者を追い込んでいるのは誰なのか。この社会を根本的に腐らせ、ズタズタにしている。
今日本の社会はどうですか? 実に冷たい、酷薄な社会になっていませんか。お互いが差別しあう、蹴落としあう。「自己責任」といって互いにあら捜しをする社会じゃないですか。どこに友情や連帯や仲間があるんですか。情けないことです。しかし、こういう社会は確実に滅びる。人間は本来仲間とともに生きる存在だと私は思います。
そこまで若者を追い込んでる元凶は、労働者派遣法です。中曾根さんは自分で言っていますが、労働組合をつぶすために国鉄分割・民営化をした。20万人が首を切られ、200人が自殺に追い込まれた。このときに労働者派遣法が制定されたのです。
人を集めて、あちこちに配って回る、ピンはねする。これは絶対やってはいけないとされたことです。「労働者派遣業」というものが儲かってしかたないなんていう。毎日のように報道されるくらい、労働者は派遣先でひどい目にあっていますが、「文句があるなら派遣元に言ってくれ」というのが許されるのが労働者派遣法です。どこに不満を持っていったらいいんですか。このうえに、国会では派遣法がさらに改悪されようとしている。正社員もどんどん派遣に置き換えられて、派遣社員は一生派遣のままです。こういう労働環境をなんとかしなければいけない。
電話で「あしたどこそこの現場に来い」という日雇い派遣が原則禁止されましたが、国会ではその要件が緩和されてまたぞろ復活しようとしている。「ホワイトカラーエグゼンプション」とは、いくら残業しても残業代払わなくていいという制度ですが、これは、厚生労働省さえも反対して、さすがに通らなかった。しかし今度はオリンピックを名目にして、解雇も自由、残業代も払わなくていいという特別区をつくろうとしているんです。
この一方では安倍内閣の戦争政治が大手をふってまかり通っている。これを断ち切るカギは、働く人たち、労働者の団結であると思います。
団結といっても、今の私たちはそっぽを向き、顔をしかめるでしょう。当然です。今の労働組合が、高い組合費をとって、賃上げ闘争をやりますか? 過労死に取り組みますか? 経営者と手を結んで、組合の名で労働者を売り渡しているじゃないか。こんな労働組合は組合の本当のありかたじゃない。労働者は、一人ではどうしても資本家に負けてしまう。
労働者が互いに手を結び肩を組み、自分の生活と仲間の生活を守りあうのが労働組合です。150年の歴史はその歴史だった。もういちど、本来の労働組合の姿を取り戻そうではないですか。仲間を信じよう。本当の話をしよう。生きるためには闘うしかないということを真っ向から確認しあって、心を通わせて、2人、3人と労働組合をつくっていこう。そして、何にもしないで組合費でふんぞり返っている、ダラ幹と呼ばれる労働貴族どもに赤っ恥をかかせて追い出そう。
私は昔NHKの労働組合の分会委員長をしていました。首になり、弁護士になった。ほとんどは労働事件をやっています。そのなかでつかんだことは、労働者を守るのは紙に書かれた一片の法律ではなく、労働者の団結なんです。
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