練馬区にある福祉作業所「オープンスペース街」（以下、「街」）は、発足以来２２年間、障害者解放運動の拠点として地域に根ざして活動してきた。６月１日、この「街」と職員の自宅など５ヶ所に、警視庁公安１課は突如家宅捜索を強行した。障害者就労支援事業所である「街」の捜索は５時間にわたり、その間に警察権力が呼び寄せたテレビ局６局と新聞社１社のカメラが居並ぶという異様な光景が演出された。一部テレビ局・新聞社が「給付金をだまし取った疑い」「過激派の拠点になっていた」と悪質なキャンペーンをふりまいた。絶対に許せない。

　家宅捜索は３日間にわたって拡大し、開業したばかりの訪問介護事業所と職員宅、「街」職員が所属する東京北部ユニオン事務所など計９ヶ所に。押収品は優に１００点を超える。

公安警察が区行政をとびこえて「給付金詐欺」でっち上げの暴挙

　警察がマスコミを使ってキャンペーンする「給付金詐欺」など、１００％のでっち上げだ。実際、公安警察は今に至るも一人も逮捕することができずにいる。そもそも障害者就労支援事業を統括し給付金を支給するのは練馬区であって、区からの指導はおろか、何一つ連絡もないところで、いきなり公安警察が家宅捜索に入るなどということ自体がありえない。福祉事業のあり方そのものを外からぶち壊すやり方だ。

　公安警察は、パソコン、利用者の出勤簿、タイムカード、通帳、ＵＳＢなど、日常的な作業所の業務、請求業務に必要な物品をことごとく「街」から持ち去った。これは毎月１０日までの前月分給付費請求をさせない、作業所つぶしの許しがたい攻撃だ。

　　障害者に「事情聴取」を強制の暴挙　

　最も許せないことは、公安警察が６月１日の家宅捜索と同時に、通所するメンバー宅を訪問し、「事情聴取」を強制したことだ。公安刑事は、「『街』が対応ができないように、家宅捜索と同時に訪問した」と言い放ちつつ、「『街』はみんなしゃべっているから、安心して答えていいぞ」と卑劣な手法で弾圧の協力者に仕立て上げようとした。病院に行こうとするメンバーを車に乗せ、連日交番などに連れ出して調書を取るということまで強制した。「障害者はウソと甘言でどうにでもできる」と徹底的にいたぶって警察に都合のよい「供述」を取ろうとし、徹底的に分断する。「自分の居場所がなくなることに手を貸してしまった」と涙ながらに語っている利用者がいる。これほどの差別に満ちた極悪の 手口があるだろうか。かつて戦前・戦中、障害者が排除と治安弾圧の対象とされ、命までも奪われた障害者抹殺政策の歴史を繰り返してはならない。福祉作業所は、当事者と職員、地域の人たち、さらに自治体労働者が手を携えて作り運営してきた地域のかけがえのない拠点だ。そんな努力に唾を吐き、国家暴力で潰そうとする。安倍の戦争政治下の弾圧は絶対に許せない！と地域での怒りが広がっている。

　地域拠点つぶしー社会保障全面解体攻撃を、団結した力ではねかえそう！

　今回の弾圧は、地域に根を張って活動し反戦・反原発の地域拠点となってきた「街」を潰そうとする攻撃であると同時に、それを通して、作業所をはじめ福祉・介護など戦後的な社会保障そのものをぶち壊そうとする、安倍政権による戦時型の大攻撃だと考える。こんな暴挙を許せば、あらゆる作業所、福祉事業所、労働組合、市民運動への弾圧が拡大されかねない。この許し難い弾圧に対して、「不当捜索を許さず、『街』を守る」賛同署名運動が立ち上がり、地域の仲間や全国の労働組合などから２００筆以上集まっている。

　私たちは、６月９日に押収物還付の準抗告を東京地裁あてに申立し、反撃に立っている。しかし不当捜索から１ヶ月近くたっても未だ返却されていない。警視庁公安一課は不当弾圧を直ちにやめ、全ての押収物を返せ！　ご支援をよろしくお願いします。

（東京北部ユニオン）